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カテゴリー別アーカイブ: 日記

第22回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは! 株式会社若林電気、更新担当の中西です。

 

 

年末前の準備はお早めに

 

11月も後半になると、
「年末に向けての準備」が本格化します

でも、掃除や整理だけでなく――
実は電気設備の点検も忘れてはいけない大切な項目です


ブレーカーの点検とホコリ掃除

分電盤の中にホコリがたまっていませんか?
これが意外と多い“冬の火災原因”なんです

→ 専門業者による分電盤クリーニングを行うと、
・トラッキング火災防止
・絶縁状態の確認
・過負荷チェック

まで一度に対応できます


外灯・防犯灯の球切れチェック

冬は日が短くなるため、外灯や駐車場の照明が大活躍
この時期に「LED交換」「照明センサー設置」を行っておくと、
安全性・省エネ性の両面で効果的です。

特に店舗や事業所では、
「照明がついていない=印象ダウン」にもなりかねません
夜間の安心感を守るためにも、定期点検をおすすめします


暖房機器専用コンセントの設置

冬場に多いのが、「暖房機器の使いすぎによるブレーカー落ち」。
特に古い住宅では、コンセント1口に複数の家電をつなぐケースが多く見られます

専用回路・専用コンセントを設けることで
安全性が高まり、電気機器の寿命も延びます


年末の“まとめメンテ”で安心を

12月に入ると予約が立て込みます。
11月中に点検を済ませておくのがベスト

おすすめのメンテ項目リスト:
分電盤・ブレーカー確認

 コンセント・スイッチ点検
照明器具・蛍光灯交換
屋外照明の防水チェック
電力消費量モニタリング

これらを一括で行う「年末前点検パック」などを活用するのもおすすめです


まとめ

11月は、「安全・節電・快適」の3拍子を整える時期
年末に安心して明るいお正月を迎えるために、
ぜひこの時期の点検・工事を計画してみてください

電気は“見えないけれど、暮らしを支える大切な力”――
だからこそ、今のうちにしっかり整えておきましょう

株式会社ツカサ電設では、省エネ診断から機器導入・施工・アフターメンテまで一貫サポート。快適でエコな暮らしづくりをぜひお任せください!

 

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第21回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは! 株式会社若林電気、更新担当の中西です。

 

 

職人の技が光る

 

普段はなかなか見えない「電気工事の現場」。
でもそこには、暮らしを支える“職人の誇り”があります


 命を守る仕事

電気工事は、ほんの一瞬の油断が事故につながる危険な仕事でもあります
電流・高所・狭所――そのすべてと真剣に向き合いながら、
安全第一で作業を進めます。

私たちは、
・毎朝の安全ミーティング
・絶縁テスターによる通電確認
・防護手袋・絶縁靴の徹底
・感電防止の二重チェック

を欠かさず行っています。
安全の先にこそ“信頼の品質”があります


目に見えない部分こそ、丁寧に

お客様の目に触れるのは、照明やコンセント。
でも、本当に大事なのは壁の中の配線なんです。

配線の通し方・結線の確実さ・配電盤の整理――
見えない部分こそ、最も時間をかけて丁寧に施工します。

「後から問題が出ない工事」こそが、職人の誇り


若手の育成と技の継承

11月は、来年度の採用や育成計画を立てる時期でもあります
現場では、ベテラン職人が若手に工具の使い方や作業姿勢を教える姿も。

「電気工事は危険もあるけど、人の役に立てる誇れる仕事だ」
そんな想いを次世代に伝えていくことが、業界の未来を支えます


まとめ

電気工事は、“暮らしの裏側を支える仕事”
安全・丁寧・誇り――
この3つを守り続けることで、お客様の信頼が積み重なっていきます

 

 

株式会社ツカサ電設では、省エネ診断から機器導入・施工・アフターメンテまで一貫サポート。快適でエコな暮らしづくりをぜひお任せください!

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第20回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは! 株式会社若林電気、更新担当の中西です。

 

 

節電と快適を両立!

 

 

電気代の高騰が続く中、
「どうすれば節電できるの?」というご相談をいただくことが増えました

実は、電気工事のプロができる節電対策には、
“日常の工夫”とは違う根本的な改善ポイントがあるんです


配線の最適化でロスを防ぐ

古い建物では、配線が複雑に入り組んでいることがあります。
その結果、電流ロスが発生して余分な電力が使われてしまうケースも

そこで私たちは、電気の流れを診断する“配線経路チェック”を実施
無駄な分岐や古いケーブルを整理・交換することで、
電圧の安定と節電効果を両立します


照明のゾーニングで賢く節電

照明を一括でON/OFFしている店舗・事務所、多くありませんか?
実はこれも、電力のムダ使いにつながります。

おすすめは「ゾーニング化」
→ スイッチをエリアごとに分け、必要な場所だけ点灯できるようにする工事です。

小さな改善ですが、
年間の電気代を5〜10%カットできる場合も!


太陽光や蓄電池との組み合わせ

11月は太陽の角度が下がり、日照時間も短くなりますが、
太陽光+蓄電池+省エネ照明」の組み合わせなら、
季節を問わず安定した節電が可能です

最近は、一般家庭でも小型の蓄電池やポータブル電源を導入するケースが増加中。
停電対策にもなり、安心感がぐっと高まります


まとめ

節電は「我慢」ではなく、「仕組み」で叶える時代
電気工事士が行う配線・照明・電源の改善で、
快適さと経済性の両方を手に入れましょう

 

 

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第19回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは! 株式会社若林電気、更新担当の中西です。

 

~冬支度の前にチェック!~

11月。
朝晩の寒さがぐっと増して、
家でも職場でも「暖房を入れる季節」になってきました

この時期になると、実は電気設備に関するトラブルが増えてくるんです
「ブレーカーが落ちる」「コンセントが熱い」「照明がチカチカする」など、
寒くなる前に一度点検しておくことで、防げるトラブルがたくさんあります

今回は、そんな“冬前の電気メンテナンス”について詳しくお話しします


 暖房使用による電力負荷の増加

11月〜2月は、一年で最も電力使用量が多くなる時期。
特に、エアコン・こたつ・電気ストーブ・ホットカーペットなど、
同時に複数の電気機器を使うと、ブレーカーに負荷がかかります

対策としては、
・コンセントの分岐配線を見直す
・ブレーカー容量の点検
・電気配線の老朽化チェック

などを、電気工事士に依頼しておくと安心です


照明のLED化で節電&快適

日が短くなる11月は、照明を使う時間も長くなります。
この機会に「LED照明への切り替え」を検討するお客様が増えています。

LEDのメリットは
電気代が約1/3に削減
寿命が約40,000時間(約10年)と長持ち
熱を持たないので安全性も高い

しかも最近はデザイン性が高く、色温度を調整できる製品も多くなりました。
「仕事部屋は白っぽく」「リビングは暖色に」など、シーンごとに最適な明かりを演出できます


コンセント・配線の点検で火災防止!

寒くなると、コンセントに暖房機器を複数つなぐケースが増えます。
しかし、タコ足配線や経年劣化した延長コードは火災の原因に

電気工事店では、
・熱を持ちやすいコンセントの点検
・古い配線の交換
・ブレーカー負荷計算の再設定

など、専門的な視点から安全確認を行っています。


まとめ

11月は“冬支度”と同時に、“電気設備の健康診断”をする最適な月
年末に向けてトラブルを未然に防ぎ、
安心して冬を迎えるために、ぜひ一度プロの点検をご検討ください

株式会社ツカサ電設では、省エネ診断から機器導入・施工・アフターメンテまで一貫サポート。快適でエコな暮らしづくりをぜひお任せください!

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第18回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは! 株式会社若林電気、更新担当の中西です。

 

分電盤・配電盤は“建物の神経節”。ここでの設計・施工品質が、その後10〜20年の安定運用を左右します。盤計画は安全(遮断・感電保護)、可用性(冗長・増設余地)、保守性(点検スペース・ラベリング)、**熱管理(発熱計算)**の4点で組み立てます。今回は、実務目線での盤計画と検査の勘どころを体系化します。

 

1|盤計画の原則
配置:点検スペース(前面1m、側面0.6m目安)と避難動線の両立。扉開角を図面で拘束。
回路構成:用途別に盤を分け、非常・常用・動力・照明・情報を混在させない。非常と常用は物理分離。
将来増設:母線・スペース・ダクト・幹線余力を10〜30%確保。空きブレーカースペースを“実在”で残す。
環境:湿気・粉じん・塩害・高温を見越し、IP等級とフィルタ/換気を計画。屋外盤は結露対策必須。

 

2|回路設計と保護
遮断器選定:遮断容量>系統短絡容量。系統情報と上位遮断器の特性を確認し、選択遮断を実現。
保護協調:上位→下位で時間差を確保。モータ回路は始動電流とサーマルで過負荷保護を最適化。
分岐のバランス:単相多回路は相バランスを取る。照明は回路跨ぎの明かり割りで半停を回避。
サージ/SPD:雷多発・沿岸・IT機器が多い施設ではSPDを盤階層で段落ち設置。

 

3|熱設計と換気
発熱把握:遮断器・電源・インバータ等の損失Wを合算。周囲温度+装置上昇で内部温度を推算。
換気:自然換気が基本。高密度盤は強制換気ファン、吸気は下・排気は上。フィルタは交換容易に。
レイアウト:発熱源を上下・左右に分散。上段に制御、下段に電源など機器の熱耐性を意識。

 

4|結線・配線の作法
トルク管理:端子は規定トルク。過大締付は導体痩せ・発熱の原因。トルクレンチは校正を維持。
曲げ半径:ケーブル外径×8以上を目安。端末処理ではストレスコーンを丁寧に。
ラベリング:盤名→回路番号→用途→行先→ケーブルNoを同一ルールで。後年の改修が劇的に楽に。
制御線/電源線分離:ノイズ源(インバータ等)との離隔、トレー内分離を徹底。

 

5|安全・運用の工夫
ロックアウト/タグアウト:停電作業の基本動作として標準化。誤投入を0に。
アーク対策:高短絡容量環境では遮断器特性と保護具を整備。扉開放時の投入は手順で禁止。
非常時運用:非常回路の手動分離・切替の手順書を盤扉裏にQRで添付。

 

6|検査と記録
外観→締付→絶縁→動作→負荷試験の順。測定値+写真+日付で記録を残し、図面と整合検証。
ホットスポット:サーモで初期運転後に確認。端子の増し締めは“闇雲”にやらず、規定値再締付で。

 

7|現場NG→是正
NG:空きスペースがダクトで塞がれて増設不可。→ 是正:当初から拡張ダクトと空きスペースを確保。
NG:盤前に設備が増設され点検1mが確保できない。→ 是正:占有範囲を黄色で床マーキングし死守。

 

8|ケーススタディ(オフィス階分電盤)
OA/照明/空調補機/非常の4盤構成。将来増設用にOA盤へ20%空きを確保。DALI調光用の制御ユニットは熱源と離隔。保守通路を広く取り、夜間の無人点検を可能に。

 

9|まとめ
盤は“運用の器”。遮断・協調・熱・保守の視点で設計→施工→記録を一貫させれば、止まらない電気が手に入ります。次回は照明計画を深掘りします。

 

 

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第17回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは! 株式会社若林電気、更新担当の中西です。

 

“切らさない電気”を支えるのが幹線。需要計算→ケーブル断面→電圧降下→保護協調→配線方式→配管/ラック納まり…と意思決定が連鎖します。ここでは式と現場感覚を両立させて、迷わない設計・施工の要点をまとめます。

 

1|需要計算の原則
需要率×同時使用率で最大需要を見積。用途別係数は“保守的に”設定。
将来余裕:幹線は10〜30%の余力を。盤スペース/ラック幅も拡張性を考慮。
負荷の性質:モータ多用→始動電流・力率、LED多→高調波。用途で配線・保護を最適化。

 

2|電圧降下の考え方
目安:幹線2〜3%以内、支線+幹線で5%以内。
計算の勘どころ:長距離・大電流・低力率で降下が増。経路短縮と断面アップで解決。
実務では許容温度・布設方式(ラック/管/隠ぺい)で許容電流が変わる点に注意。
現場ショートハンド(例)

60m/100A/三相200V → 38sqでOKか?→ 温度・布設で補正、端末の曲げ/接続もセットで判断。

 

3|配線方式の選定
CV/CV‑T/CVT:幹線定番。耐熱と布設のしやすさで使い分け。
EM‑EEF/EM‑ELE:難燃・低煙。避難経路や人の滞留空間で有効。
ケーブルラック:見せる/隠すの判断。意匠と保守性のバランス。
金属管/合成樹脂管:機械的保護優先。露出配管は“通り”“同心”が品質。

 

4|配管・ラックの“納まり”術
幹線は最短/最小曲げで。曲率と引張を守り、引込・引出を整然と。
交差は直角、並走は離隔。弱電との離隔はノイズ対策の基本。
ラックは両端の支持と中間支持。振れ止めと接地を忘れない。

 

5|保護と協調
遮断器は遮断容量>系統短絡容量。協調は上位→下位へ段差。
モータ回路は始動電流に合わせ、過電流継電器・サーマルを適正化。

 

6|施工品質の勘どころ
曲げ半径:ケーブル外径×8以上が目安。端末で無理をしない。
トルク管理:結線は規定値。締付け過大は発熱・緩みの原因。
ラベリング:幹線→盤→回路で同一ルール。将来改修の命綱。
通線計画:引張荷重・潤滑剤・人員配置。**“引きの段取り”**で品質が決まる。

 

7|ケーススタディ(物流倉庫・延長150m)
需要 450kVA、力率0.9。幹線CVT 150m。→ 断面選定 + 電圧降下 + ラック計画 + 熱を一体で検討。
結果:CVT 250sq×3C×3条、ラック600幅、分岐は近傍で降圧抑制、端末はストレスコーンで丁寧に処理。

 

8|まとめ
幹線は“電気の大動脈”。需要→降下→方式→納まり→保護の順で考えると、判断がぶれません。数式と現場感覚を両輪に、無事故・無停止の電気を形にしましょう。次回は分電盤・配電盤の計画術へ。

 

 

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第16回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社ツカサ電設、更新担当の中西です。

 

高圧受電を低圧へ変換し、安全に分配する“心臓部”が受変電設備(PAS/UGS・VCT・VCB・変圧器・保護継電器・計器用変成器・配電盤)です。ここでは単線結線図の読み方と保護協調、据付・接地・換気などの実務ポイントを体系化します。

 

1|単線結線図を“機能”で読む

受電点(PAS/UGS):異常時に上流を遮断。ヒューズ定格と遮断容量の確認。

VCB(真空遮断器):短絡・地絡保護の主役。トリップ回路の健全性が命。

変圧器(油入/乾式):負荷特性と損失(鉄損/銅損)を把握。並列時はインピーダンス整合。

CT/VT:計測・保護の“目”。比率・極性・二次側短絡の扱いに注意。

保護継電器:OCR/OCGR/UVR/OVR/GR。整定値は負荷・幹線・遮断器の組合せで決める。

TIP:単線結線図は“電気の地図”。記号の意味ではなく**流れ(電力・信号)**を追うと理解が速い。️

 

2|保護協調の考え方

需要計算で幹線断面・遮断器容量を確定。

最小故障電流と最大故障電流を推定。

上位→下位の順に整定(時間-電流特性の段差を確保)。

設計値は試験で検証(二次注入試験・トリップ試験)。

代表的な整定例(イメージ)

OCR:In=200A、TMS=0.2、瞬時整定=10In

OCGR:I0=20A、TMS=0.3

UVR/OVR:±10%域で段差を付けて誤動作防止

 

3|据付と盤内の“納まり”

位置:点検扉の開角・前面/側面スペースを確保(点検作業者の退避経路も)。

換気:乾式変圧器・盤内発熱を想定し、吸気下部/排気上部の自然換気を基本に。高負荷は強制換気。

防水/防塵:屋外はIP等級、ルーバーに防虫網。潮風地域は耐塩仕様。

結線:端末の曲げ半径、トルク管理。CT二次は開放厳禁。

 

4|接地と絶縁

D種接地:変圧器二次側の中性点接地。接地抵抗許容値の達成は“水まき・塩化・深打ち”の順で検討。

アースバーで一元化し、アース銅バー→各機器へ放射状に。ボルト・座金で電食対策。

 

5|試験と立上げ

目視→締付→メガ(絶縁抵抗)→耐圧→継電器二次注入→無負荷試運転の順。

記録は写真+数値+整定表。盤扉裏にQRで貼付。

 

6|実務の落とし穴と対策

短絡容量の見誤り:遮断器が“負ける”と大事故。→ 上流系統情報を電力会社と摺合せ。

盤内熱だまり:夏場のトリップが続出。→ 換気量増、ダクト計画、発熱源の上下配置最適化。

継電器整定の“流用”:別案件の値をコピペ。→ 回路条件ごとに再計算し、試験で確認。

 

7|まとめ

受変電は“止めない電気”の要。単線結線図を機能で理解し、保護協調と接地を柱に据えれば、現場判断が早くなります。次回は幹線・配線設計を掘り下げ、電圧降下と配管/配線の作法を整理します。

 

 

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第15回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社ツカサ電設、更新担当の中西です。

 

電気工事は「電線をつなぐ仕事」ではありません。**安全・品質・省エネ・BCP(事業継続)**を、設計・施工・点検という連続プロセスで実現する総合技術です。現場は常に“他の工種と同時進行”で進み、天井裏・床下・シャフト・外構など、見えないところにこそ本質が宿ります。ここでは電気工事の全体像を、現場運用の視点で分解してみます。

 

1|電気工事のミッション

安全:感電・火災・漏電を起こさない(一次安全)。保護協調と遮断容量、アース設計が骨格。

品質:動作の安定・ノイズ抑制・電圧降下の許容管理。見えない品質を“記録”で証明。

省エネ:機器選定だけでなく、運用(自動調光・在室制御・デマンド監視)で稼ぐ。

BCP:非常用電源・蓄電池・自立運転・負荷選別で“止めない”。

 

2|設計→施工→点検のループ

設計:需要計算→幹線断面→保護協調→系統図→回路表→施工図。ここで8割が決まる。

施工:配管/配線→盤据付→結線→検査。見えなくなる前の“中間検査”が命。

点検:絶縁・耐圧・接地抵抗・動作試験・温度。結果は写真+数値+日付で残す。

設計品質が施工を楽にし、施工品質が点検を楽にし、点検品質が運用を守る──この循環が総コスト最小化の王道です。

 

3|現場で必ず直面する5つのテーマ

取り合い:空調・衛生・建築と“同じ空間”を使う。早期に干渉調整(BIM/3D/モックアップ)。

貫通処理:防火区画は“命の境界”。貫通スリーブと認定材の型番を図面で固定。

騒音・粉じん・火気:時間帯と工程を設計。切断/穿孔は養生と集じんでクリーンに。

電源品質:電子機器は“きれいな電気”を好む。ハーモニック・瞬停・高調波への備え。

記録と説明:検査・引渡し・将来改修に効く“説明可能性”を常に意識。

 

4|チェックリスト(着工前)

 

5|よくあるNGと是正例

NG:天井内の配線が空調ダクトと密着。→ 是正:離隔確保、吊り金具で“引き”を作る。

NG:盤内の端子ねじが過大締付。→ 是正:トルク管理で規定値(例:1.2N·m)を徹底。

NG:露出配管のエルボ精度が甘い。→ 是正:曲げゲージ使用、同心・通り精度を写真登録。

 

6|“見えない品質”を可視化する

写真の定型:①全景 ②近景 ③ラベル/マーキング ④測定器の数値 ⑤日付入り

QR連携:盤扉内にQR。図面・負荷表・点検記録にリンク→保守性が段違い。

 

7|まとめ

電気工事は“電線を引く”だけの仕事ではなく、安全・省エネ・BCP・運用を担うインフラづくりです。図面・段取り・施工・記録の4点セットで、説明できる品質を積み重ねましょう。次回は受変電(キュービクル)を基礎から実務まで深掘りします。

 

 

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第14回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社ツカサ電設、更新担当の中西です。

 

 

さて今回は

電気工事のあれこれ~感電防止~

 

感電は「高圧だけが危ない」ではありません。100V/200Vでも条件次第で致命的になり得ます。要は電圧×通電時間×人体を流れる経路作業環境。本稿は、現場で今日から徹底できる“型”に絞ってまとめます。各社の安全基準・法令・元請基準に必ず適合させて運用してください。


原則(これだけは守る)

  1. 原則停電:活線作業は最終手段。

  2. 無電圧の確認は“三動作”
     ①テスター自己確認 → ②対象回路で無電圧確認 → ③再び既知の活線でテスター再確認

  3. 隔離・施錠・表示(LOTO):遮断→エネルギー隔離→ロックアウト・タグアウト→鍵管理。

  4. 短絡接地:必要な設備では短絡接地具を確実に装着。

  5. 養生と立入管理:充電部は絶縁カバー、作業区画は立入禁止で二重化。


感電リスクの見立て方(5つの観点)

  • 電気的条件:電圧、残留電荷(コンデンサ・UPS)、漏電の可能性、逆潮流。

  • 環境:湿潤(雨・結露・洗浄)、狭隘姿勢、金属粉塵、足元の導電。

  • 機器状態:絶縁劣化、端子の弛み、仮設配線、老朽盤。

  • 系統構成:二重給電、非常電源、太陽光・蓄電池の自立運転。

  • 人的要因:焦り・疲労・思い込み・複数班の同時作業。

→ リスク高は停電前提、中は隔離+遮へい強化、低でも確認を省略しない


手順:停電〜復電の“型”

  1. 作業範囲の定義:図面に蛍光ペンで“境界”をマーキング。

  2. 遮断・隔離:主幹/分岐の遮断→誤投入防止の施錠→タグ。

  3. 無電圧確認(三動作):必ず適合した検電器/テスターで。

  4. 短絡接地・養生:高圧・受変電は短絡接地、低圧でも露出部は絶縁カバー。

  5. 作業許可:責任者のサインで着手。復電の合図系統を事前取り決め。

  6. 復電前の点検:工具置き忘れゼロ、端子締結トルク、カバー復旧、警告札回収。

  7. 試運転:単独復電→計測→段階的に負荷投入。立ち会いで音・におい・温度を確認。


検電器・テスターの正しい使い方

  • 選定:対象電圧・周波数・直交波(インバータ出力)に適合。

  • 自己確認:作業前に必ず既知の活線で点灯/数値確認

  • 接触手順:片手操作を基本に、端子へ確実接触。非接触型は補助用途。

  • 校正・点検:定期校正/電池残量/リード破断の有無を点検。

  • 三相回路:相順確認を忘れず、異常時は復旧前に原因特定。


個人用保護具(PPE)と工具

  • 絶縁手袋:規格適合・耐圧クラスを選定、インナー手袋併用で汗対策。

  • 絶縁靴/長靴絶縁マット:湿潤環境・屋外は必須。

  • フェイスシールド/保護眼鏡:遮へい+開閉器操作時は常用。

  • 耐アーク衣:高エネルギー回路や開閉操作では検討。

  • 絶縁工具(VDE 等):ドライバ・ペンチ・トルクレンチを絶縁仕様で統一

  • 梯子・足場FRP梯子を基本、金属梯子は活線近傍で不可。


シーン別の要点

① 屋内低圧(分電盤・器具付け)

  • 主幹を落として母線に絶縁カバー、盤内は工具・部材の置きっぱなし厳禁。

  • ジョイントは圧着後の引張確認、端子は規定トルクで二度締め。

② 屋外・仮設電源

  • 漏電遮断器の適正、防雨ボックスアースを確実に。

  • ケーブルは接地面から浮かせ水たまり・ゲリラ豪雨を想定した取り回し。

③ 受変電・高圧

  • 停電計画→短絡接地器取付→立入管理

  • 誘導電圧・容量性残留電荷に注意、検電棒は該当電圧器を使用。

④ 太陽光・蓄電池・EV充電

  • PVは日照で常時起電遮光カバーと端子の短絡防止

  • 蓄電池は残留電圧・化学的リスクに留意、メーカ手順を厳守。

  • EV充電器は接地抵抗・絶縁監視を確認し、通電試験は立会いで。

⑤ データセンター/UPS・非常電源

  • 二重給電・UPSの逆給電に注意。片系停電でも背後から通電し得る。

  • コンデンサの放電時間を手順書に明記、待ち時間を守る


ヒューマンファクター対策

  • 5分停止ルール:不明点が出たら一旦手を止め、復唱・指差呼称。

  • メンバー固定:日替わりメンバーは誤投入の温床。責任分担を明確化。

  • 工具の見える化:数入りトレーで持出→返却を可視化(置き忘れゼロ)。

  • 熱中症・疲労管理:WBGTや休憩時刻を時刻固定で運用。


事故時の初動(簡易フロー)

  1. 電源遮断(可能なら遠隔・ブレーカ)。

  2. 絶縁物で接触解除(素手で触れない)。

  3. 119通報/AED手配心肺蘇生を直ちに開始(訓練者がいれば交代)。

  4. 二次災害防止:立入禁止・復電禁止・現場保存。
    ※日頃から救命講習模擬訓練を。

 

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第13回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社ツカサ電設、更新担当の中西です。

 

さて今回は

電気工事のあれこれ~担い手~

 

再生可能エネルギー、EV充電、データセンター、レトロフィット(省エネ改修)——電気工事の需要は拡大しています。一方で現場は高齢化・人手不足・安全負荷の上昇という“三重苦”。このギャップを埋める鍵は、担い手の採用・育成・定着を一気通貫で設計することです。本稿は「理念」より実務に効くやり方に絞ってまとめます。


1|電気工事の仕事はこう変わっている

  • 仕事の幅が広い:動力・弱電・情報通信・計装・制御、そして保守点検まで。

  • 求められる免許・資格(例):第二種/第一種電気工事士、電気工事施工管理技士(1・2級)、電気主任技術者など。

  • デジタル前提:タブレット図面、写真帳票の電子化、BIM/CAD、現場のIoT機器。

  • 安全と品質の同時追求:感電・災害・熱中症リスクの高度管理、トレーサビリティの厳格化。

→ 結論:「手が動く」だけでは不十分。学び続けられる人を増やす設計が必要。


2|ペルソナ×キャリアラダーで“居場所”を用意

  • 現場電工:配線・器具付け・盤まわり。

  • 施工管理:工程・原価・安全・品質・図面調整。

  • 設計・積算:配線計画・機器選定・仕様整理・見積。

  • 保守・保安:点検・更新提案・省エネ診断。

  • デジタル支援:BIM/CAD、写真管理、ドローン・点群、帳票自動化。

各ペルソナに3–5年の到達像と賃金テーブルを用意し、「どこを目指せば評価が上がるか」を明確にします。


3|採用:誰を、どう口説くか(即実装メニュー)

  1. 高校・専門校ルート

  • 授業内出前講座+“模擬配線体験”(LED・スイッチ・三路をその場で点灯)。

  • 奨学金返済支援資格受験費全額会社負担を明記。

  1. 未経験・社会人転向

  • 「90日オンボーディング」を約束(詳細は後述)。

  • 工具支給・作業着支給・直行直帰OKなどを求人に“見える化”。

  1. 女性・ミドル層

  • 体力負荷の高い工程はユニット化・仮組で負担軽減。

  • トイレ・更衣・防寒/暑熱対策の設備写真を求人ページに掲載

  1. シニア・再雇用

  • 週3日・短時間で教育専任ロールを用意。目先の“即戦力”より技能の継承に軸足。

  1. 採用ページに載せるべき要素

  • 1日の流れ/現場写真/年収レンジの実例/評価基準/支給する工具リスト/資格ロードマップ/表彰制度。


4|育成:90日オンボーディング雛形

  • 0–30日:安全・工具・基本結線(VVF/EM-EEF・三路・ジョイント)、写真帳票の作法。

  • 31–60日:図面の読み方、配管・配線の段取り、小規模範囲の一人施工、是正対応。

  • 61–90日:小班のリーダー体験、出来形と原価の見方、発注・納材の流れ、資格対策(2種→1種のステップを提示)。

運用のコツ:技能マトリクス(人×技能×レベル)を作り、現場配属を“育成優先”で決める。メンターは固定し、週1回15分の1on1を必ず。


5|定着:4つの約束

  1. 安全最優先:朝礼のKY、感電・墜落・熱中症の数値管理

  2. 予測できる働き方:工程の前倒し協議、直行直帰、宿泊・出張手当のルール明文化。

  3. 見える評価:資格・段取り・品質・育成貢献でポイント制→賞与と連動。

  4. 道具をケチらない:インパクト・検電器・絶縁保護具は会社支給/更新サイクル固定


6|生産性×安全を両立させる打ち手

  • ユニット化/プレハブ化:盤内配線・器具板の先行仮組で現場時間を短縮。

  • 標準手順書(動画付):器具付け/結線/通電試験の“型”を統一。

  • 写真管理の徹底:電子黒板アプリで出来形・是正の即日クローズ

  • 共同購買:ケーブル・器具の価格変動に備え、地域同業と購買連合。

  • 暑熱対策:送風機・空調服・WBGT計、休憩ルールを時刻で固定


7|地域エコシステムで“担い手づくり”を仕組みに

  • 産学連携:学校と「配線実習台」を共同整備。技能五輪やコンテストへ出場。

  • 行政・元請との協働適正工期・適正単価の場づくり(施工計画の前倒し協議会)。

  • 地域イベント:子ども向け“電気で光る工作教室”で職業の見える化

 

 

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